村木厚子さんの「日本型組織の病を考える」を読んで

組織に関するテーマを扱うことも多く、特に日本の組織、さらに言えば、意思決定の仕方にコンサルタントとしてかかわっている中で、もどかしさを覚えることが何度もあります。
組織についてタイトルに入っていることに興味を覚え、この本を読みましたが、実際には、組織に関する話もさることながら、官僚の仕事、検察とのやりとり、キャリア、村木さんの考える組織の在り方、退官後の活動など、ご自身の経験を通して見える日本の様々な組織の問題点と目指すべき解決の方向性を丁寧に、そして、勇気づけて語られていて非常に面白い本でした。


本の内容としては
・障がい者郵便制度悪用事件についての全貌と感じたこと
・官僚として勤め上げた村木さんのキャリアの歴史とその想い
・定年後の活動「若草プロジェクト」の活動とその動機
・村木さんを支える周囲の方に対する想いと感謝
が書かれており、組織に関する内容は、上記の経験をもとにした示唆が各所にちりばめられているという形になっています。


とても印象的だったのが、
とても不合理で、絶望してもおかしくないような経験をされながら、そこからも学びを得て、ご自身の意思、未来の活動につなげていく凛とした強さ。
産休制度もまだなかったような時代に、国家公務員というキャリアを形成していくなかで、問題意識、周囲もうまく巻き込みながら気持ちを切り替えて前に突き進んでいく開拓力。

私にとっては、官僚という仕事がどのようなものなのかというのは過去に合コンで知り合った男性から見聞きしたことはあったものの、具体的なイメージがなかったので、「国民の代言者として、政策を作る」という姿勢で取り組まれてきた村木さんの官僚像によってとてもイメージが変わりました。

また、同質な人材が集まった組織という点では、大企業とさほど変わらず、そこでは考え方が画一的になりがち、公のために仕事をしているというプライド、間違いが許されないという考え方、により、正義がゆがみ、そのゆがんだ正義を盾にして暴走していきがちであるということもとても納得がいきました。

本音と建前の使い分けをやめて、建前通りにせざるをえないシステムを作る、また、そういうことにちゃんと気づくことができる人こそ、上にしっかり上がっていく、何かを突き動かす権力組織でも上にいって、そこから変えるということが非常に重要であるという記載にはとても共感します。

組織だけでなく、個人のキャリア形成、女性のキャリアという点でも背中を押してもらえる本だと思います。

個人的には、また組織で働き始めたら、さらにリーダーシップを発揮して、おかしなことが起こらず、健全に組織運営を図っていけるようになるための下支えがしっかりできるような人材になるよう引き続き研鑽、挑戦していこうという動機付けができました。

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