HARD THINGS by Ben Horowitz

The Hard things about hard things

Building a Business When There Are No Easy Answers

ベン・ホロウィッツという、シリコンバレーで有名なテクノロジー系ベンチャーキャピタリストが自身の起業経験をもとに会社を経営することについて必要な知識を書いたノウハウ本であり、自伝本です。

書籍等で紹介される起業家の本は基本的に成功したケースについてのであり、かつ華々しい武勇伝がたくさん書いてあることが多い。みんなカリスマ過ぎてなんだか親近感わかないどころか、踏みとどまらせるくらいじゃないかと感じるときもある。

そこ、それがうまくいったのはどうしてなのか、それが知りたいときがたくさんあるというのがそういった本を読んでよく感じることでした。

しかし、この本は違う。とても具体的です。

ご本人が書いているのに、この本には、そういった飾った感じや自分の武勇伝的経歴が全くなく、
起業をする中での経験が赤裸々に語られているのはもちろんですが、

その随所随所に、自分の行う意思決定の内容に関する迷いや不安、苦悩がまるでその場にいるかのように感じられるほど克明に記載されています

またそもそもの経営に関するノウハウ本として非常に質が高く、どうしたらうまく会社を運営できるのか、が、社員や幹部の採用～勤務～解雇まで、
CEOのノウハウ、が網羅されています。

この本を読んで、CEOが行う意思決定一つ一つが本当に成功だったのか失敗だったのかという事は結局後にその会社が成功しているかその事業が成功しているかという後付けでの評価しかできない。

不確実な状況(本の中では戦時中と記載がありますが)の中で最大限集めた情報中からスピーディーに意思決定をし自ら戦う、その繰り返しが会社を発展させ(また、衰退するんだということを学びました。

また経営上の課題には常に感情的な側面が伴う、自分がやっていることが常に違和感で耐え難いことだと思ったらそれこそCEOの世界、孤独にも思える戦いを必死に諦めずに向き合い乗り越えて続けることこそがCEOを務める醍醐味である、

よく、経営者に一番必要な力＝あきらめない力というのを見聞きしますが、
それを実行している方だったんだなと思いました。

こういう本を読んで自分が実際に経営と言うものに携わる時に心の準備ができると言うのはとてもラッキーなことと感じるとともに、起業したい人でなくても、この本を読むことで経営者はどんなことを考えて取り組んでいるのかと言う違う視点で会社を見ることができるようになるんではないかとも思います。